TENET(テネット)の矛盾点まとめ、テーマは「決定論と自由意志」

クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET(テネット)」を観に行ってきました。
本当は公開日に観に行く予定でしたが、行く途中に事故をしてしまったので、今更ながら観に行ってきました笑
通常の映画館で1回、IMAXで1回の合計2回。
2回目の上映の際には、10月10日以降限定で配布される特典の「テネるカード」をゲットしました。

ニールのテネるカード
ニールの「テネるカード」

非常に面白かったのですが、矛盾点や疑問点があったのでまとめたいと思います。
また、僕なりにTENET(テネット)のテーマについても考察しました。

矛盾点、疑問点まとめ

エントロピーと時間の逆行の関係は?

銃に戻る弾丸

最初のいわば「ルール説明」で主人公が「逆行する弾丸」や「机から手に戻る弾」を体験して、エントロピーの増減の説明を受ける。
作中でこの後に起こる、「逆行弾」や「横転していた車の復活」などはエントロピーの増減によるものだと観客は思うが、後に実は時間を逆行している人物によるアクションであったことが発覚する。
となると、最初の「ルール説明」のシーンやセイターの金塊のシーンは逆行している誰かが干渉しているわけでは無いので、単なる超常現象ということになる。
観客に「時間の逆行」の存在を隠しながらルール説明をするためには仕方ないのだろうか。
そもそも、話をややこしくするエントロピーの説明は不要だったのではないだろうか

逆行主人公が乗っていたSAABはなぜ凍ったのか?

凍る主人公と車

逆行状態では「火が氷」になるという。
しかし、なぜ逆行主人公のみならず順行世界の車までもが凍ったのだろうか?
また、僕が理解できていないだけだとは思うが、逆行世界でも「火は火」ではないのか、やはり逆行とエントロピーの2つの要素を混ぜたのはややこしい気がする。

逆行でのアクションの結果は順行ではいつから存在するのか?

横転している車

逆行世界でのアクションの結果は順行世界ではいつから存在するのか?
例えば、

  • 窓ガラスの銃痕は順行世界ではいつから存在しているのか?
  • 横転していた車はいつから横転していたのか?
といった点だ。
その答えとなるシーンが、スタルスク12の挟撃作戦での「時間の前と後から同時」のビルの爆破シーンだ。
頭では理解できないが、とても強烈なシーンで印象に残っている。
「考えるな、感じろ」というキャッチフレーズにあるように、このような細かい矛盾(?)は気にしないのが正解だろう。
そもそも「結果」という表現は間違っているのかもしれない。

逆行主人公は何故自分を撃ったのか?

自分自身を撃つ主人公

映画の前半、主人公はオスロ空港のフリーポートで逆行を使いこなす謎の男に襲われる。
この謎の男は、実は逆行している自分自身であると後に明かされるのだが、逆行している主人公はなぜ自分に対して銃を放ったのだろうか。
前半で逆行弾を魅せるためなのだろうか、それとも……。(後述の「テーマ」の部分を参照)

TENETにおける時間の概念、テーマについて

TENETにおける時間の概念

タイムトラベルものの映画における時間の概念は以下の2種類がある。

  • 過去を変えることができる
  • 過去を変えることがでできない
TENET(テネット)は後者の「過去を変えることができない」映画だ。
ニールが劇中に「起きたことは仕方ない」と述べていることからもわかる。
実は、映画が始まった瞬間から主人公側の勝利は決定していたのだ。(スタルクス12の戦いとオペラハウス事件は同じタイミング)

TENETのテーマ

TENET(テネット)のテーマは「決定論と自由意志の関係」だと感じた。
「決定論」とは全ては運命によって定められているという考え方だ。
決定論が絶対であるならば、自由意思は存在せず全ての行動は運命で定められているということになる。
例えば、逆行主人公が自分自身を撃ったことは「原因」ではなく、順行主人公が撃たれたことが「原因」であり、逆行主人公は撃つ「運命」だったと捉えることができ納得できる。
そうであるならば、仮にミッションに真剣に取り組まずとも主人公は勝利していたのだろうか?

ニールは最後にこう述べていた。

ニール

「起きたことは仕方ない」、この世界の理だが何もしない理由にはならない。

感想

とても面白かったです。(特に2回目)
ただ、複雑過ぎて1回目には理解が追いつかず、十分に楽しむことはできませんでした。
1回目では理解できない、十分に楽しめないことから賛否が分かれそうな映画です。
1度では理解できないほど複雑ですが、とても緻密に製作されており、上で述べた細かい点以外タイムトラベルものにありがちな矛盾も存在しません。
見れば見るほど新しい発見があり、理解も深まるので2回以上見ることをおすすめします。2回目は1回目の100倍面白いことを保証します笑。

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